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助動詞ってそもそも何?
助動詞は、その名の通り「助(ける)動詞を」つまり動詞を助ける役になります。
つまり、動詞に対して何かしらの意味をもたらすものが助動詞です。
しかし、これだけでは助動詞の説明として不十分です。
次に、助動詞がもつ本質的な意味(コアイメージ)を説明します。
助動詞がもつ本質的な意味
意味① 話し手の心的態度を表す
助動詞の一つ目の意味は話し手の心的態度である気持ちや主観を強く表しています。
以下に例文を載せます。
(私はできる!!)
この文から、私はできるといった話し手の心的態度を強く表していることがわかると思います。
意味② 他者の客観的な推量を表す
二つ目の意味は他者の客観的な推量です。
これは先ほどの意味①である話し手の心的態度と関係しています。
この関係に関して具体的に説明します。
もし、あなたの友人がお金を貸してくれるか?に関する質問があったとします。
あなたの友人はあなたと仲が良く、とても優しいのでお金を貸すことができる(can)と考えました。
これはcanで示すことができます。しかし、相手のことなので「〜できる」と断定することはできません。
なので、「〜できるだろう」という意味を推量します。
これがcanのもう一つの意味「〜する可能性がある(他者の推量)」です。
このように助動詞には、二つの意味があります。
意味① 話し手の心的態度を表す
意味② 他者への客観的推量を表す
助動詞は全てこの二つの意味があります。
二つ目の推量の度合いの違いはこのページの下部『助動詞の推量度合いの違い』にまとめているのでご覧ください。
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助動詞で必ず抑えるべき3つのポイント
助動詞が持つ本質的な二つの意味を知ってもらえたところで、続いては助動詞を使う際に絶対に押さえておきたい3つのポイントについて見ていきましょう。
助動詞のポイント!!
- 助動詞は動詞の前に置く
- 助動詞の後の動詞は必ず原型
- 助動詞は連続して使う事ができない
①助動詞は動詞の前に置く
先ほども挙げたとおり、助動詞という単語はその名の通り「助(ける)動詞を」つまり動詞を助ける役になります。
なので、助動詞は動詞を助けると考えて「動詞の前に置く」と覚えると良いでしょう。
(私は泳ぐ。)
I can swim.
(私は泳げる。)
そして上の例文で、一つ目のI swimは私は泳ぐに対して、2つ目は動詞の前にcanを置くだけで、動詞の意味が大きく変化しました。
ちなみにcanの意味については後に詳しく記載しています。
このように助動詞は動詞の前に置くので、まずはここを押さましょう。
②助動詞の後の動詞は必ず原型
「助動詞は動詞の前に置く」を押さえましたが、次はその動詞は必ず原型である必要があります。
「主語 + 助動詞 + 動詞の原形」の形をとる
助動詞が含まれる文章の動詞は全て原型です。
以下に例文を載せます。
(夕飯をおごるよ)
I will go on a trip tomorrow.
(明日旅行に行く)
I can read English but I can’t speak it.
(私は英語を読めるが話せない。)
赤字の動詞を見てもらうとお分かりいただけるように、きちんと動詞の原型になっています。
このように助動詞の後の動詞は原型にする必要があります。
③助動詞は連続して使う事ができない
助動詞は連続して使う事ができません。
I will can go home.
などは文法上成り立ちません。
このようにcanが後に続く場合はcanをbe able toに変えると文法上OKになります。
be able toは同じく「〜できる」といった意味を持ち、さらに助動詞ではないので可能になるのです。
詳しい内容はこちら『実はcanには沢山の意味があった!!be able to との違いも解説!!』をご覧ください。
(私は必ず戻る!!)
このwillの後にあるbeは確かに助動詞です。
しかし、これは第一助動詞と呼ばれるもので、第一助動詞を後ろに持ってくる場合は連続して使う事ができます。
詳しい内容はこちらの記事『助動詞には2種類あった?!「法助動詞」と「第一助動詞」の違いを徹底解説!!』をご覧ください。
助動詞のポイントを押さえたところで、続いて実際に重要な助動詞を10個見ていきましょう!!
重要な助動詞10選!!
重要な助動詞は以下の10個です。
・can
・could
・will
・would
・may
・might
・should
・must
・have to
・used to
それでは、一つ一つ見ていきましょう。
助動詞canについて
これは非常に使用頻度の高い助動詞です。
①能力・可能(〜できる)
この「〜できる」は主語の能力を表しています。
「それ自身がもつ根拠に基づいた可能性」
②許可(〜しても良い)
①の「〜できる」とは雰囲気が変わって、「〜しても良い」といった許可の意味でもcanは使われます。
ただ、よく考えてみてください。
「〜しても良い」は少し言い換えると「〜する事ができる」になります。
・・・・・・
少し分かりずらかったと思うので、具体例を挙げて考えてみます。
(ペンを借りてもいい?)
これは、私はペンを借りる事ができますか?に言い換える事が可能です。
つまり、「借りることができる?」から「借りても良い?」に派生したイメージです。
だから、この許可(〜しても良い?)はcanの「〜できる」というイメージに通ずるものがあるのでぜひ覚えてください。
③提案「〜するのはどうですか」
canには「〜するのはどうですか?」「〜しましょうか?」といった提案の意味もあります。
以下例文です。
(会議を月曜に変えましょうか)
これはもはや「〜できる」といった意味からかけ離れすぎましたね。
しかし、実はまだ「〜できる」といった意味が残っています。
本当に??と疑う方のために、提案の「〜するのはどうですか?」の言い方を少し変えてみます。
「(〜できるけど)〜するのはどうですか?」
このように、canの提案は「できるといった可能性を元に提案」しているので、この言い換えが可能になります。
え??少し無理があった??
そんな声が聞こえてこないことを祈ります。
canに関して更に深い内容はこちらの記事『実はcanには沢山の意味があった!!be able to との違いも解説!!』をご覧ください。
助動詞couldについて
①canの過去形
これは受験勉強でも習ったので知っている人も多いと思います。
ただ、一般的にcanの過去形は「was/were able to」か「managed to」を使います。
(私はなんとか駐車場に車をとめることができた。)
②canより丁寧な依頼
couldはcanよりも丁寧な依頼として使われます。
以下に例文を挙げます。
(質問してもよろしいでしょうか?)
これはCan I ask you a question?よりも丁寧な表現。
助動詞willについて
意味① 主語の意志(〜しよう)
willは「〜しよう」という主語の意志を表します。
この意志のwillは意志を表明する言い方なので、主語は1人称のIが一般的です。
(私は必ず戻る!!)
私は戻るという意志の表れている。
意味② 単純未来
これは単純に未来を表すwillです。
意志ではないので、1人称以外を主語にすることが可能です。
He will be ten years old next month.
(彼は来年で10歳になる)
しかし、willのコアイメージは「意志」です。
この単純未来は単純に話し手の見通し(未来)を思い描いているだけです。
第三者目線での意志が含まれており、やはりこのwillも意志であり未来なのです。
意味③ 強い推量(〜だろう)
このwillは他者をみて「〜だろう」と推測するので主に二人称、三人称の場合に使われます。
そして多くの人が持っているwillのイメージである「未来」とは関係ない使われ方をする場合もあります。
(明日は雨だろう)
意味④ 習慣・習性(〜するものだ)
willには習慣や習性を表す「〜するものだ」という意味もあります。
以下、例文です。
(人は噂をするものだ)
この意味の覚え方としては、先ほどの強い推量「〜だろう」が派生して「(〜だろう….いや..)〜するものだ」と捉えると覚えやすいかもしれません。
助動詞wouldについて
wouldはwillの過去形なので、先ほど挙げたwillの意味と似ています。
意味① 過去の習慣(よく〜したものだ)
これはwillにもあった習慣の意味が過去形になっただけです。
used toも過去の習慣を表すが、明確な違いはused toは現在と対比しているのに対して、wouldは現在と対比するニュアンスがないことだ。
意味② 過去の強い意志(どうしても〜しようとした)
これもwillの意志を表す意味が過去形になっただけです。
そして、否定形を用いると「拒絶(どうしても〜しようとしなかった)」を表します。
この拒絶は状況によっては多用します。
(彼はどうしても自分の誤りを認めようとしなかった。)
意味③ 低い可能性の推量(〜だろう)
このwouldの推量は、willよりも確信度の低い推量になります。
willの推量は以下のように強い意志を表していました。
(私は必ず戻る!!)
しかし、wouldになるとこのようになってしまいます。
(私は戻るだろう)
一気に自信がなくなりましたね。このようにwouldの意志はwillより弱くなってしまいます。
助動詞mayについて
意味① 許可(〜しても良い)
canより形式ばった言い方です。
〜しても良いよ。というニュアンスからして上から目線な印象を与えてしまうので注意が必要です。
(泳いでも良い)
ただ、許可を求めるときの疑問で使う場合はcanより丁寧になります。
(質問しても良いですか?)
意味② 可能性の推量(〜かもしれない)
この推量の度合いは丁度50%と言われています。
(それは本当かもしれない。)
本当か否かの推量は50%であることを示す。
ちなみに上にあげた例文にある「may be」は「maybe」と同義です。
maybeは「多分〜」というイメージが強いと思うので、それと同じ意味と考えるとmayのこの意味も簡単に覚えることができると思います。
意味③ 祈願(〜でありますように)
あまり馴染みのない意味だと思いますが、mayにはこのように祈願の意味もあります。
ただ、この意味の捉え方は簡単で先ほどの可能性の推量と関連させて以下のように覚えると覚えやすいかもしれません。
以下に、祈願の例文を載せます。
(お幸せに!!)
このように祈願のmayは主語の前に置かれるのが一般的です。
助動詞mightについて
意味① 可能性の推量(もしかしたら〜かもしれない)
このmightの推量はmayよりも度合いが低いです。
mightはmayのように「許可(〜しても良い)」などの意味はなく、この可能性の推量のみです。
mayとmightの使い分けや、さらなる表現技法が知りたい方はこちらの記事『【もう悩まない!!】mayとmightの意味と使い分けを徹底解説!!』をご覧ください。
助動詞shouldについて
意味① 義務(〜すべきだ)
このshouldが意味する義務はmustやought toより弱いです。
(あなたは注意すべきだ)
意味② 高い可能性の推量(当然〜のはずだ)
shouldが持つ後一つの意味は、高い可能性の推量です。
以下に例を示します。
(彼は今日の午後までには帰宅するはずだ)
助動詞mustについて
意味① 義務(〜しなければならない)
mustの一つ目の意味は義務(〜しなければならない)です。
義務に関しては、shouldも「〜すべきだ」とありましたが、mustはさらに度合いが強いです。
have toも同じ禁止(〜しなければいけない)ですが、それは次のhave toの説明で述べます。
意味② 強い推量(〜に違いない)
mustも他の助動詞と同じく推量の意味を持ちますが、このmustはその中でも最も推量の度合いが強いです。
推量というより、もはや確信していると捉えても良いです。
mustの推量は、現在の状況に対してのみ用います。
未来のことをmustを用いて「明日は〜に違いない」と表現することはできないので注意しましょう。
意味③ 禁止(〜してはいけない)
mustはnotを用いて否定文にすることで禁止(〜してはいけない)という意味になります。
ちなみにmust notは否定命令文の「Don’t~」と同じくらいに強い禁止を表す意味になるので使う際には注意が必要です。
(騒がしくしてはいけない)
助動詞have toについて
意味① (外部要因による)義務
have toは「〜しなければならない」という意味でmustと同じです。
しかし、このhave toは外部要因で「〜しなければいけない」という意味があります。
mustは自発的な義務に対して、このhave toは外部要因による義務です。
意味② 強い推量(〜に違いない)
mustと同じく推量の意味を持つ。
ただ、mustとは異なり、未来の推量にも使える。
未来の推量に使う場合は「will+have to」を用いる。
(私は必ず戻る!!)
mustとhave toは否定文で大違い
mustの否定形であるmust notの意味は「〜してはいけない」という意味で、have toの否定形であるdon’t have toの意味は「〜しなくても良い」になる。このようにmustとhave toの否定形は意味が大きく違ってくるので注意が必要です。
助動詞used toについて
意味① 過去の習慣「以前は〜だった」
このused toの意味は「以前は〜だった」です。
これは「今は違うけど、昔は〜だった」という意味で現在との対比を表しています。
今も昔も変わらない状況でused toを使うのはやめましょう。
wouldも習慣を意味するが、used toは現在との対比を強調している。
この点が違うので押さえておこう。
be動詞が前につくだけで意味が大きく違ってきます。あくまでこの「used to」は助動詞です。
助動詞の推量度合いの違い
ここまで沢山の助動詞について見てきました。
そこでこう思った方は少なからずいるのではないでしょうか?
「推量の意味もったやつ多すぎだろ・・・・」
「推量の意味で使い分けるのむずすぎ」
その通りです。
実は、助動詞は基本的に「推量の意味」がベースとして存在しています。
そこで、下に推量度の違いで並べたものを載せておきます。
ちなみに、可能性の推量が高ければ高いほど確信度が高いと言えます。
must
will
would
ought to
should
can
may
might
could
↓低い可能性の推量
mayから過去形のmightになると推量の度合いが下がるといったように、過去形になると推量の度合いが下がる仕組みになっています。
助動詞は種類が多いですが、冒頭で述べたとおりコアのイメージは「話し手の心的態度」と「他者の客観的な推量」です。
難しく捉えず、一つ一つ覚えていってくださいね。